再開発LINK集
再開発(さいかいはつ Urban renewal)とは、広義には、既成の市街地を再整備することをいう。
日本では狭義には、都市再開発法に定める「市街地再開発事業」を指すことが多い。同法に基づく事業(都市計画事業)を一般に法定再開発と呼び、一定の要件を満たした場合、国の補助金などの助成が行われる。この他、特定街区制度や総合設計制度を用いる場合、都市計画及び関連法による法定計画(例えば再開発促進区)が定められる場合、任意に事業が行われる場合(例えば工場跡地開発)などがある。
日本では市街地再開発事業を行うため「都市再開発法」があり、第1種及び第2種市街地再開発事業について規定している。市街地再開発は、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法及び都市再開発法で定めるところに従って行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいう。鉄道駅の周辺で駅前広場を造るとともに商業ビル等を建設する駅前再開発や、都市部で狭い道路に面して低層の建物が密集している地域などで共同化ビルを建設する事業が典型的なものである。
開発の手法としては、大正時代から耕地整理法(1909年)による農地の耕地整理やこれを準用した都市の区画整理が行われてきた。戦後に土地区画整理法(1954年)ができて土地区画整理事業による再開発が進められてきた。しかし、狭小な敷地に権利者(土地所有・借地・借家など)が多数存在している地価の高い都市市街地においては、土地の増価や減歩を行う土地区画整理事業を進めるのは困難であり、また土地を整理するだけの制度のために建築物の整備が伴わない問題があった。
そこで、都市施設整備とあわせて、建築敷地を集約して中高層共同ビルを建設し、その床に関係権利者が権利を移して入居できるように法的支援する制度として、「防災建築街区促進法」(1961年)と「市街地改造法」(1961年)を制定した。後にこれらをひとつにまとめて「都市再開発法」(1969年)を制定し、都市計画事業として市街地再開発事業を行うようにした。都市部の再開発事業は、この市街地再開発事業(法定再開発ともいう)が多い。土地区画整理事業と組み合わせる合併施行の事例もある。
都市再開発は以下の都市整備事業手法で行われることが多い
1. 法律に基づく事業手法
2. 制度要綱等に基づく事業手法(住宅市街地総合整備事業・まちづくり総合支援事業等)
3. 都市計画法や建築基準法に基づく規制誘導(いわゆる地区計画)
法律上、開発あるいは再開発という語が用いられる例を以下に示す。
「市街地開発事業」:都市計画法第12条に定める都市計画事業
1. 土地区画整理法(昭和29年法律第119号)による土地区画整理事業
2. 新住宅市街地開発法(昭和38年法律第134号)による新住宅市街地開発事業
3. 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和33年法律第98号)による工業団地造成事業又は近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和39年法律第145号)による工業団地造成事業
4. 都市再開発法による市街地再開発事業」
5. 新都市基盤整備法(昭和47年法律第86号)による新都市基盤整備事業
6. 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業
7. 密集市街地整備法による防災街区整備事業
「市街地再開発事業」:都市再開発法第2条に定めるの定義
市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法(昭和43年法律第100号)及びこの法律(第7章を除く)で定めるところに従つて行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいい、第3章の規定により行われる第1 種市街地再開発事業と第4章の規定により行われる第2種市街地再開発事業とに区分する。
「都市再開発方針」
都市計画法に基づく「市街化区域の整備、開発又は保全の方針」の一部として定められていたが、2000年の法改正により、独立した都市計画になった(都市計画法第7条の2、都市再開発法第2条の3)。この方針は、都道府県が既成市街地の中で再開発の必要があると認めた区域について再開発促進地区などを示すものである。「方針」なので、具体的な権利制限は伴わない。
「再開発等促進区」
一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域として、地区計画により建築物の用途、容積率等の制限などを定める。なお、かつて「再開発地区計画」という制度があったが、2002年の都市計画法改正により「再開発等促進区」に再編された。
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